|
|
宇都宮健児弁護士の講演 |
第60回大分県民間教育研究集会が別府市にある大分県ニューライフプラザで宇都宮健児氏を招いて講演会が行われたので行って来ました。 講演会の表題は「日本をむしばむ貧困 人間らしい生活の再生を求めて」と題して行われ、約2時間に亘って今の日本の現状に即して詳しく話されました。 第一に貧困と格差が広がってきているとして、貧困率・ジニ係数は過去最悪になっており、この格差を広げたのは小泉首相と竹中平蔵であり、全労働者の3人に一人以上が非正規労働で、また年金だけでは生活できない高齢者が急増し、国民健康保険料の支払いが出来ず、保険料の滞納者が18%に及び医療難民が急増し、貯蓄ゼロ世帯が過去最高の31%を超えていると、また貧困は経済的ばかりを見るのではなく人間的・社会的に孤立していることも見て行くことが必要で、児童の虐待や就学援助なども人間的な観点から見て行く必要がある。 貧困と格差の広がりは戦争にもつながって行き、経済的だけを見ると戦後の貧しい時期の方が人間的・社会的につながりがあり、現在のように経済的に貧困に陥っている奨学金や手当の取り立てが厳しくなり、現在社会の人と人のつながりの無くなった貧困は孤立が大きくなり、貧困と格差の拡大に拍車をかけ、無縁社会の到来と餓死、孤立死の増加に拍車をかけている。 第二に何が貧困と格差拡大の要因になったのかと、これは小泉政権が新自由主義的・市場原理主義的な国の政策が地縁・血縁・社縁を崩壊させ、貧困と格差の拡大に拍車をかけたとして、社会的・人間的孤立を作り、人間としての生きがいや希望を奪い去ってしまう政策を採って来たからだと言う。 第三に安倍政権はこれまでの政策に対してどのような対策を採って来たのかと言えば、生活保護法の大改悪で生活困窮者に追い打ちをかけるように生活保護基準を大幅に引き下げ、医療・年金・介護などの社会保障制度全体の改悪を行い、生活保護基準を引き下げているため餓死や孤立死が多発していると。 第四にあるタレントの母親が生活保護を受けていると報道されるや生活保護バッシングが始まったが、生活困窮状態に陥っている国民は、国家の恩恵を受けているのではなく、権利として憲法25条による生存権保障の生活保護を申請していると胸を張り、国や各自治体は生活保護に関する憲法25条の趣旨を広報等で周知徹底に行うべきで、今はその反対が行われているので、今日参加されている教育関係者は学校教育で生活保護の権利性を教え、餓死や孤立死を無くすようにしていただきたいと。 第五に安倍政権は企業が世界一働きやすい国づくりとして、雇用破壊の動きに着手し、労働者派遣法の改悪をはじめ限定正社員の導入や残業代ゼロ制度の導入、新自由主義的規制緩和政策の全面展開など雇用破壊を展開してきている。 第六にこのような貧困問題や人間らしい労働に切り替えていくにはどうすればよいのかとして、まず普通に働けば人間らしい生活が出来る労働政策として最低賃金の大幅な引き上げ、非正規労働の待遇改善、同一価値労働同一賃金制度の確立、労働者派遣法の抜本改正などに合わせて社会保障政策の充実、特に生活保護制度の運用改善、雇用保険・年金制度の充実、公営の低家賃住宅の大量供給、医療・教育の無償化と富裕層に対する課税の強化と社会保障制度を通じての所得・富の再分配が必要である。 第七として私たちはまず安倍政権の暴走をストップさせるために、憲法改悪を許さず、政治的立場を乗り越え、政治に無関心層の人々にも働きかけて、私たち一人ひとりは微力であっても、決して無力ではない、一人ひとりがつながれば大きな力になると言う事を再認識して運動を大きくし、権利は与えられるものではなく闘い取るものだと、今の状況に即して詳しく話され、とても良い勉強になりました。 午後からは各分科会に分かれての交流がありましたが、私は他の用事があり参加しませんでした。 |
宇都宮健児さんの講演を熱心に聞きメモを取る人も |