弁護士会館で報告集会 中央左が緒方良勝原告団長 その右が岡村正淳弁護士 |
厚生労働省は2000年当時、物価下落の際に年金額を例外的に据え置いたとして「特例水準の解消」を理由に10年以上も経過した2012年11月に年金を2.5%引き下げる法律を国会で成立させ、2013年10月の年金から「本来下げるべきであった」として、2年半にわたり2.5%引き下げる方針を実行し年金受給者に大きな苦しみを与えてきました。 私たちはこの年金の減額は不当として、行政不服審査請求運動を行う中で、私たち組合員は年金だけで生活しているにもかかわらず、年金の支給額は下がり、医療・介護費の重圧をはじめ介護保険料の引き上げ、消費税の増税等によって、これからの生活に不安を覚えるなか、2016年には物価が2.3%上昇したにもかかわらず、今度は「マクロ経済スライド」と言う、何の事か解らない理屈をつけて、2015年の年金支給額が「特例水準の解消」として0・5%と「マクロ経済スライド」による0.9%が削減されました。 年金は「物価スライド」形式をとっているため、2016年の物価上昇2.3%が、先程の理由によって年金額の引き上げは0.9%にとどまったため、年金支給額引き下げが尾を引いて物価上昇に追いついていけず、毎日の買い物では安売りや賞味期限間近の半額商品の物を求めての生活を送っている状態です。 私たちはこの状態を打破するため2015年に引き下げられた年金額を元に戻してほしいと年金減額分支払い請求を大分県23名が原告となって日本政府に訴訟を起こしました。 まず最初に原告団長である緒方良勝さんから裁判長へ意見陳述を述べ、その中で「年金は老後の生活を支える所得保障の根幹であり高齢者の命綱、また年金削減は財産権の侵害であり、生存権を否定するものである」と訴えました。 この訴えに対して国側は書面反論だったため、内容をこの時点で知る事は出来なかったが、訴訟の趣旨を裁判所に出したあと、岡村弁護士よりこれまでのやり取りの経過報告を弁護士会館で受けたとき、岡村弁護士の口から出た言葉に大きな驚きと怒りを覚えたものです。 その言葉とは事前に政府に訴状を伝えた内容に対して、返ってきた言葉が、「社会保障の水準を決めるのは国の立法裁量、生存権は年金制度だけではなく生活保護制度も支えている。年金の減額を返せと言って、年金が低い、低いと言っているが、ならば生活保護を受けたらよい」と書面で反論してきており、私たちの請求却下を求めてきました。 政府は年金制度を考えることなく、また高齢者の声や低年金者の苦悩を一顧だにすることなく、年金制度を如何にすれば安心した老後が送れるのかといった言葉すらなく、年金受給者を馬鹿にした言葉に大きな憤りを覚えたものです。 |
大分地方裁判所に向かう原告団とその支持者 左 緒方良勝 原告団長 右 岡村正淳弁護士 |