豊後大野市神楽会館11月公演


 
 今回11月公演は犬山神楽保存会と吉田俚楽座による公演で、犬山神楽保存会は県の文化財指定を受け、浅草流を引き継いでいますが、一説では上津流とも呼ばれる神楽を舞っています。
 吉田俚楽座は豊後竹田市吉田にある吉田八幡社所属の神楽で、御嶽流を引き継ぐ神楽座として、その昔岡藩内にあった神楽座九座の一つで、江戸時代から活動していたが、大正期に一時途絶えたが、昭和23年に復興した歴史ある神楽座です。

 第一幕 吉田俚楽座の神逐(かみやらい)

 神逐とは天照大御神が天岩戸に隠れた原因を作った須佐之男命を許さず、神々が須佐之男命に多くの償いものを出させ、刑罰を課して高天原から追放しようとしますが、須佐之男命は高天原に居る親や姉(天照大御神)のいるもとから離れるのが嫌だと激しく抵抗するが、八百万の神々は須佐之男命を抑え込み高天原から追放してしまうと言う舞いです。

    
          八百万神のの登場                               須佐之男命が登場

    
 須佐之男命が八百万神々に悪戯する前の一人舞

    
八百万の神々が須佐之男命を諌め、反撃に出る舞

    
       八百万の神々の諌めを躱す須佐之男命            八百万の神々の諌めに反撃に出ようとする須佐之男命

    
      須佐之男命の反撃に備える神々                     神々の反撃にたじろぐ須佐之男命

神々による諌めと反撃によって追放される須佐之男命

 第二幕 犬山神楽保存会の剣(つるぎ)

 剣とは須佐之男命の乱暴に起こった天照大御神が天岩戸に隠れ、世の中が暗闇になり、困り果てる高天原に諸神によって天照大御神が岩戸から出てこられ、それを喜んだ八百万の神々が岩戸開きを太刀をかざして舞い踊った様子を表したものですが、太刀をかざすことによって太刀の威力で妖怪・怨敵を駆逐すると言う意味もあるらしいが、神楽好きなものにとっては単調な舞のためちょっと物足りないかな・・・

     
八百万の神々の登場
 

    
八百万の神々4名が登場し、互いに向き合って喜びの舞を行う
剣を振りかざして喜びを表すと同時に妖怪・怨敵を駆逐する最後の舞

 第三幕 吉田俚楽座の平国(へいこく)

 平国とは国生した伊邪那岐命(いざなぎのみこと)と伊邪那美命(いざなみのみこと)は多くの神々を生んだが、伊邪那美命はその中で火の神である迦具土神(かぐつちのかみ)を生んだときに、火の神である迦具土神によって全身を焼かれ亡くなってしまいます、それを嘆き悲しんだ伊邪那岐命は怒りにまかせ十拳剣を取って迦具土神を斬ってしまうと、その剣先に付いていた血が石群に飛び散り、そこから石折神や石筒之男神など多くの神々が生まれたと言う物語の舞いですが、見る者にとっては剣と同様の単調な舞のためにちょうっと物足りなさを感じさせます。

    
血の石群から生まれた神々の舞

    
互いに向き合って四隅を回りながら喜びを現して行く

腕まくりをして強さを表すしぐさ

 第四幕 犬山神楽保存会の綱の武(つなのたけ)

 綱の武とは天照大御神は須佐之男命をが働く乱暴に最初は寛容であったが、ある日忌服屋(いみはたや)で布を織っていた服織女(はとりめ)に向けて生きた馬の皮を投げつけ、驚いた服織女が飛び上がった時に機織り道具が体に刺さって亡くなってしまいますが、この時の舞いは須佐之男命をが忌服屋で乱暴を働くのを八百万の神々が制止しようとする場面を表した場面で、須佐之男命と八百万の神々のドタバタのユウモア―のある舞で面白みのある舞です。
     
八百万の神々が布を持って登場

    
       須佐之男命が登場                             登場するや直ぐ神々に悪さをする

    
須佐之男命の悪さがエスカレートしていく

    
神々が布を使って須佐之男命を手玉に取って行く
 

    
須佐之男命が手玉に取られたことに怒りを表す

    
     神々は須佐之男命から怒られても彼を手玉に取って遊ぶ       遊びが終わると須佐之男命の戒めに入る

    
      神々が須佐之男命に覆いかぶさって戒める             戒めに対して大いに怒りを表す須佐之男命

    
 怒りの思いを神々にぶっつける須佐之男命
 
 神々と須佐之男命の駆け引きがとてもユーモアを引き、本日の演目の中で笑いの中に神話へ引き込まれていく思いがした。