神楽会館4月公演


 

 神楽会館4月公演は大分市の国分神楽社と浅草流細枝神楽の共演で行われた。今回の演目で初めて見た演目が細枝神楽の「心化(しんか)」と言うもので、国分神楽の「大蛇退治」は4頭の大蛇の登場し、私が見て来た限りの神楽会館では初めてではなかったかと思う。
 
 第一幕 「綱武」 天照大御神との誓約に勝った須佐之男命は再び乱暴を働くようになったが、天照大御神はその乱暴には寛容だったが、ある日忌服屋(いみはたや)で布を織っていた服織女に向けて生きた馬の皮を剥いで投げつけると、驚いた服織女が飛び上がった時に機織り道具に体が刺さり亡くなってしまった。
 演目の場面は忌服屋で乱暴を働く須佐之男命を制止しようとする八百万神々の場面を演じた舞でした。

 



 
 

 



 
須佐之男命が現れ機織に励んでいる八百万神々に悪戯をする場面
 
 

 

 

 

 

 

悪戯をする須佐之男命を戒める場面
 
 

 
 第二幕 「柴引」 須佐之男命の乱暴から天照大御神が天の岩戸に隠れたために世の中が真っ暗になったため、天照大御神を天の岩戸から連れ出すため、思金神は天ノ布刀命と天津児屋根ノ命を天の香久山に行かせ、そこに在る真榊を取ってくるよう命じ、天の香久山の真榊を観客に見立て、観客である柴を根こそぎ引き抜く様を表した舞です。


 
 

 



 
柴引が始まる、神は福を授けてくれると子供を差し出し抱いてもらう
 
 

 



 
太鼓打ちが修業中の子供にバチを渡し、子供が上手に太鼓を敲く
 
 

 



 
修業中の子供や団員に度胸を付けてもらうために舞台に上がってもらい出来栄えを披露する
 
 

 
 第三幕 「心化」 天照大御神の地位を脅かすと警戒された須佐之男命は「誓約」を結ぶと、須佐之男命が持っている十拳剣から三柱の女神が生まれ、天照大御神の御統(みする)の玉から五柱の男神が生まれ、それぞれの持ち物から生まれた神はそれぞれの産んだ神であると天照大御神が宣言したので、須佐之男命の地位を脅かすとの疑いが晴れ、さらに御玉から生まれた天之忍穂耳命が天照大御神の子として高天原の正統な後継者となったという物語の舞です。
 

 

 

 

単純な舞だが、今回初めて「心化」と言う舞を見た
 


 
 第四幕 「大蛇退治」 高天原を追放された須佐之男命が出雲の川上を訪れると、そこで八岐大蛇に呑まれる運命にある櫛名田姫と、それを嘆く足名椎と手名椎に行き会い、事情を聞いた須佐之男命は二人に強い酒を造らせ、酔った八岐大蛇を退治し櫛名田姫と結ばれるという物語の舞です
 



 
 

 

櫛名田姫と足名椎・手名椎に出会い訳を聞く場面
 
 

 

 

事情を聞いて、櫛名田姫は喜びの舞を、老夫婦は酒を作りに
 
 

 

 

出来た酒に毒を入れて大蛇を待つと大蛇が現れる
 
 

 



 
四頭の大蛇が現れる。右端は二頭が客席へ下りて行く
 
 

 

 

品定めをしながら切りかかる須佐之男命
 
 

 

 

 

 

 

大蛇の怒りを買い大蛇に取り囲まれる
 
 

 



 
大蛇から脱出した須佐之男命は一頭づつ斬っていく
 
 

 



 
一頭づつの首を後へ
 

 

 

最後の一頭の腹を裂くと草薙の剣が現れ、天照大御神に献上、それが今天皇家の三種の神器の一つとして伝承されている
 
 
 第五幕 「大神」 神楽が無事に終わったことを告げる舞で、神に感謝し天下泰平を祝う意味が込められた舞でもあります。

 

 

 

 

 
 神楽は日本全国に民俗芸能として分布しており、特に有名なのが島根県に伝わる石見神楽と岩手神楽が有名だが、民族芸能神楽としてはやはり岩戸御嶽神楽で、大分県御嶽神楽はその第一位に数えられるのではないかな、その伝承を引き継いでいるのが高千穂の高千穂神楽だったように聞いた思いがします。