豊後大野市清川町(旧清川村)の神楽会館で行われる神楽奉納公演は、毎年1月と2月は特別公演として行われ、今年は三つの神楽保存会共演による6演目が披露されました。 三つの保存会の中で今回初めて参加した横堀岩戸神楽保存会は熊本県波野集落の方達で、菅原神社祭典(1823年)を機に発祥し、奉納されたと記録が残る古い歴史を持つ神楽保存会で、残り二つは毎年奉納されている朝地神楽保存会の方と犬山神楽保存会の方です。 |
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第一幕 「五方禮始」 で深山流岩戸神楽を継承する朝地神楽保存会の神楽座で、朝地は過疎化によって継承活動が危機的になり、昭和41年県の無形文化財に指定されてから、保存会と改称して、神楽座創立以来の初心を忘れずに保存、継承が少ないが若者の入会によって継続活動を続けている。 「五方禮始」とは神楽を奉納するにあたって東西南北と中央の五方の神様に礼を尽くし、社地を清める舞です。 五方の神とは、東に木の神「九九迺馳ノ命、西に水の神「水波美ノ命」、南に火の神「金山突知ノ命」、北に金の神「金山彦ノ命」、中央に土の神「埴安姫ノ命」のことで、舞自体は淡々としたものです。 |
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木の神の登場 |
奉納が始まる |
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第二幕 「魔払い」 で岩戸神楽を継承する横堀神楽保存会で、明治末期から大正時代にかけ、その隆盛を極め、幾多の名手を生み出し、近郷、近在の住民に親しまれて来た活躍目覚ましい神楽座です。 魔払いとは、天照大御神は八百万の神々に真弓と美剣を持たせ、葦原の中つ国の邪悪な神々を祓い鎮めようと言う物語の舞で、これも淡々とした舞だが、舞の激しさが見もので、大きな拍手がおこる。 |
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五方の神に神楽を奉納する挨拶 |
奉納が終わる最後の舞 |
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八百万神々の登場 |
真弓を持って魔払い |
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第三幕 「天皇遣」 で豊後大野市にある浅草流を引き継ぐ犬山神楽座で、一説には上津流とも呼ばれ県の文化財の指定を受けたが、高齢化によって一時活動中止に追い込まれたが、平成14年にそれを憂いた大野町の若者が立ち上がり、浅草、犬山神楽保存会として再興し、伝統を絶やすまいと努力するひたむきな神楽座です。 天皇遣とは天照大御神が葦原の中つ国に三人の命を使わし、中つ国を譲るよう迫り、使わした三人の命に下界の邪悪な神々を追い払おうとした物語で、第二幕の魔払いと同じ物語だが、違うのは大国主命の化身である道化師(チャル)の登場 |
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剣を持って魔払い |
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高皇産霊ノ命の登場 |
三人の命の登場 |
高皇産霊ノ命 |
天津彦火ノ瓊瓊杵ノ命 |
? | 八百万神々の登場 |
国を譲る挨拶 |
譲った後の舞 |
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国譲りしたが、未練が残ったのか大国主の化身であるチャロが登場 |
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第四幕「五穀米」 五穀米とは高天原を追放された須佐之男命が八百万神々に食料を差し上げている大気都比売神に出会い、鼻、口、尻から食べ物を取り出していたので、それを見たすはさ汚いと思って大気都比売神を殺してしまうと、見ると鼻から小豆、頭から蚕、目から稲、耳から粟、陰部から麦、尻から大豆が生じたので、神産巣日神はこれを取らせて農作物の趣旨にしたという物語の舞で、舞の途中で舞台から客席にお餅を捲く事が定説になり、観客もそのことを待ち望んでいる。 |
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全てが終わり引き上げの舞 |
須佐之男命と大気都比売神の登場 |
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須佐之男命 |
大気都比売神 本来は女神だがなぜか男神 |
須佐之男命が大気都比売神を殺す場面 |
殺したあと種子に例えて菓子類が出てきた |
客席に菓子類を捲く |
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第五幕 「天降」 天降とは国譲りの物語で、第二幕、第三幕と同じ内容だが神楽を演じる神楽座や保存会によって、神様の面や所作が違って、比較するのも面白い。 |
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菓子類を捲き終えて退場 |
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三人の命の登場 |
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第六幕 「戸開き」 とは須佐之男命の乱暴によって天照大御神が天の岩戸に隠れてしまい世の中が暗闇に包まれたの思金神、は長鳴鳥を鳴かせ、天児屋根命と布刀玉命に天の香具山に真榊を取りに行かせ、鏡・玉を作りそれを真榊に御幣とともに掛け、天手力男命が天の岩戸の脇に隠れ、天宇受売命が舞踊を舞っていると、外が騒がしいのを不思議に思った天照大御神が身を乗り出したときに天手力男命が岩戸を開いて天照大御神を連れ出し、高天原に平穏が戻ったという物語の舞です。 |
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未練なチャロ |
天宇受売命と八百万神々の登場 |
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天宇受売命 |
天の岩戸に向かって | |
思金神の登場 |
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思金神が岩戸を開けようとしている |
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岩戸を開けた思金神 |
天照大御神の登場 |
神々が天照大御神に礼を尽くす |
今回の戸開きは、今まで幾つかの神楽座が演じてきたが、今まで扉の中には鏡、勾玉、剣が鎮座していたが、今回初めて天照大御神が現れ、客席も大喜び。 いつもならこの後、神楽の終わりを告げる大神の舞が行われるのですが、今回は時間的になしでした。 |
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神々一緒に退場する天照大御神 |