第38回 御嶽流神楽大会

 豊後大野市では、毎年10月の最終日曜日に御嶽流神楽大会と銘打って、県内を問わず神楽社や神楽座と共演で、清川町の御岳山麓にある能場公園の神楽の里で神楽を行っている。
 今回は御嶽神楽・深山流朝地神楽保存会・緒方三社神楽保存会・竹の中神楽保存会・横堀岩戸神楽保存会・清川子ども神楽保存会の6座が神楽の里で朝9時から16時過ぎまで舞を披露しました。
 舞の舞台会場は青天井ですり鉢敷になっており、観客はすり鉢状の観覧席に思い思いに敷物を強いて、飲食を摂りながら観覧するが、なかでも舞台が中央とその脇に二つあり、その三つを使って同時に同じ演目を3座の神楽保存会が「出会い神楽」として舞を行うときです。今回は「柴引」と「綱伐」の2演目を披露したが、同じ演目でも神楽座によっては舞の間や舞方に違いがあって3舞台から目が離せなく、舞を舞う人も隣の舞台を見ながら間をとっているが、やはり見ごたえのある舞になっている。
 今回は県外の阿蘇横堀岩戸神楽保存会の方がお見えになったが、何時も見慣れている激しい御嶽神楽と違って舞方は優雅な舞で、なんとなく引きつかれそうになる舞でした。

3舞台を使った柴引の演目 左が緒方三社神楽保存会 中央が御嶽神楽 右が横堀岩戸神楽保存会

    
     緒方三社神楽保存会                               横堀岩戸神楽保存会

    
     緒方三社神楽保存会                                 横堀岩戸神楽保存会

    
どちらも横堀岩戸神楽保存会

    
        緒方三社神楽保存会                            横堀岩戸神楽保存会

    
須佐之男命が大気津比売神を切り殺す様

    
大気津比売神が切り殺されたあとから色々な穀物が生まれ、それを餅や五円に表して客席に投げる様

    
         白い輪の中に飛んで行く5円硬貨を捕えている             投げる物が無くなって引き上げる神々

    
この場面は「平国」の演目で、平国は須佐之男命が高天原から追放され、平和が戻ったと言う舞で、その舞も穏やかな舞です

    
平穏な舞の終わりをつげ引き上げていく神々

    
この場面からは「神逐」問い演目に変わります。神逐は須佐之男命が高天原を追放されるシーンです
左の場面は須佐之男命を追放する神々の登場で、右が追放される須佐之男命です。

    
ここの場面はいたずらし放題の須佐之男命に高天原から出て行くように罰を与えている場面です
    
    
左の場面は仕方なく高天原から出て行く須佐之男命 右は追放した喜びのなか舞ながら舞台を去る神々

    
この場面からは「日割」と言う演目で、一年を360日余日として東の木の神、南を火の神、西を金の神、北を水の神、中央を土の神の
5柱神に例え、春は木 夏は火 秋は金 冬は水の神に分け、各季節の神から18日を分かち72日を土用として土の神に分け与え
春夏秋冬の四季を五等分に日割する暦作りの舞でした。舞の内容には激しい仕草があり見ごたえあるものでした。

    
日割の神に土の神が、私にも日にちをと迫るシーンは見ごたえあるものです

    
無事に日割が終わり喜ぶ土の神と舞台から立ち去る神々

    
ここからは「魔払」と言う演目で、魔払いとは天照大御神が八百万の神々に真弓と美剣を持たせ、葦原の中津国に居る邪悪な神々を払い鎮めると言う物語の舞です

    
舞自体は舞台東西南北を廻りながら同じ動作を繰り返すだけで、同じ動作を二回繰り返し舞って引き上げて行く

  ここからは出会い神楽として柴引同様、三つの神楽保存会がそれぞれの舞台で同時に同じ舞を行うのですが、保存会によって若干の舞方が尖っていました。左の舞台は深山流朝地神楽保存会、中央が御嶽神楽、右手が庄内竹の中神楽保存会、舞は太鼓に合わせて同時に舞い始めるが、太鼓のバチさばきとリズムや音響が違うため、音響が変わるたび目は左や右へと目まぐるしく動き、また同じ舞をする場面では早く終わる保存会、長く舞う保存会と色々で、特に早く終わる竹之内では長くなる御嶽神楽の終わるのを待って次の舞に移るが、朝地神楽は最初は御嶽神楽の終わるのを待っていたが、次の移行の舞では御嶽の動きを見ながら舞って時間を図っていた。
 写真場面は最初に八岐大蛇に見立てた俵を朝地神楽から御嶽、竹の内と順番に描写しています。

    
        朝地神楽の八岐大蛇に見立てた俵                     八岐大蛇を鎮める祝詞をあげる舞て

    
     剣をもって舞っている所作                             御嶽が同じ所作が終わるのを待っている

    
       八岐大蛇の頭と尻に見立てた網縄の結び目を切る               切り終えた網縄、これで網縄を斬りやすくなる

    
     右の網縄を切り落とした所作                           次に左の網縄を切り落としている場面

    
    ここからは御嶽神楽  御嶽神楽の俵 朝地神楽と網縄が少し違う       祝詞をあげる舞方

    
他の神楽座とこの場面が著しく長い

    
      網縄を結んでいる縄を切る動作                         縄を切り終えて斬りやすいように俵を調整している

    
      見せかけの一刀                                 右の網縄に剣が入ったところ

    
     右を切り落とすと同時に左へ両網縄が落ちる     ここから竹の内神楽  竹の内の俵 朝地神楽と御嶽とは仕様が違う

    
        祝詞をあげる舞方                               御嶽が終わるのをじっと待っている様

    
       剣をもって舞い始める                             狙いを定めてしのやかに第一刀を振りおろす

    
       網綱をゆっくり切り込み切り落とすことはしない                剣によって切り込まれた俵
俵を斬る瞬間は少しの違いしかなく、撮影が難しかったです。神楽を見るとき各神楽座が持っている能面や神楽座のマークを見るのも
一つの楽しみですよ。

    
他にもいくつかあったが、今回登場した面の一部

    
神楽座のマーク

    
神楽座のマーク