豊後大野市主催
御嶽流 神楽大会



 豊後大野市は毎月第3日曜日に清川町の神楽会館にて神楽の催しを行っていますが、これとは別に春と秋に御嶽山登山口の能場公園にある能場神楽会館にて神楽大会を開催しています。
 神楽大会には県内各地の神楽座や県外神楽座からも応援出場が行われていますが、今回はコロナ過のためなのか判らないが、清川神楽座と清川子供神楽保存会共催だけで開催されました。
 神楽大会は8:30分から15:30分までの間、13の演目を演じるということで、多くない団員が幾つもの役をこなすということで、2演目ごとに短時間の休憩をはさみながらの舞をこなし、特に今回は2回の演目を来場者がプログラムに無い演目を投票によって行うと言う、今までにない取り組みが行われ、司会者が練習してない演目でも即座にできますかと、問えば、やって見なければわからんとの返事で、会場から楽しみの笑いの声が、しかし団員さんの体力は凄い、迫力ある舞のあと少しの休憩でも次の舞をこなす体力と精神力は凄い。
 別府市からの私は、まず畑に立ち寄って若干の収穫と湧き水の清水を汲んでから会場に駆けつけたので、会場についた時間は10時前で、演目の2つの演目は終わり、3演目の中盤からの観賞になりました。
 観覧席のなかで2段目の舞台の正面で場所を探していると、ブルーシートを大きく広げた二人の女性が、空いてるところに座って良いですと声をかけて頂き、まだ身内の方が来るのかと思っていたら、二人だけだからすきなように座って良いと言われ、持参した携帯用の座椅子に腰かけることが出来ました。場所を提供していただいたお二人さん、ありがとうございました。


 第3演目 「平国」 平国とはイ伊邪那美命が迦具土神を生んだとき、体の一部を焼かれて死んでしまい、妻を殺された伊邪那岐命は加具土命を切り殺してしまい、その時医師に飛び散った血から生じた四神の荒魂を鎮めると言う神話の物語ですが、舞としては単純で四方の神に同じ動作の舞を繰り返す舞です。


カメラを向けたときは舞の中盤でした
四方の神に鎮めの舞が終わりかけた時


 第4演目 「太平楽」 清川こども神楽保存会による太平楽で、太平楽とは邇邇芸命一向による降臨の先導である、天忍日命と天津久米命が高千穂のくじふる岳に降り立つと、八百万の神々が歓喜の声を上げ、天忍日命と天津久米命はこの国が平和であることを祈りながら、太平楽を舞ったと言う神話の舞です。
 舞人は中学生の女の子3人で、本らなら4人で舞う舞ですが、やはり過疎化による若者減少で、舞台全部を賄うには人が足りないのか、 大太鼓の男の子を除いて、小太鼓・鉦・笛は女の子で、素晴しい所作でした。これからが楽しみです。

舞が終わり退場する場面
司会者の志賀さんが太平楽の意味を説明



大太鼓以外は女性
最初の女子の登場
3人が登場



太平楽の舞も平国と同じで、舞い方は単純だが一人ひとりの持ち物が違い、手の所作に苦労が見られた



動作は緩やかだが、舞に力がある、 特に退場前の舞方(右端)は女子中学生とは思えない迫力満点

 第5演目 あらかじめ用意された演目を、来場者のシールによって即興の演目を御嶽神楽が行うと言うもので、一回目の即興は第2位の貴見城になりました。
 貴見城とは山の神と海の神の二人がいて、山の神が兄である海の神から釣針を借りて釣りをしていると、釣針を鯛に取られてしまい、困った山の神は自分の刀で釣針を作って兄に返すが、兄は自分の釣り針を返せと言い、困った弟が海辺に佇んでいると弘原海の神が鯛から釣針を取ってきて来て兄に返すと、兄は弘原海の神から叱責を受け、弟の配下に付くよう命じられると言う物語ですが、これも舞方は単純で、多くの神々が四方の神に同じ所作を繰り返すため、藻のはたりの内容がつかめない。


山の神と海の神の登場
弘原海(わだつみ)の神の登場



万の神々の登場
これより8神が同じ所作の舞を繰り返す



四方の神に舞を行う
4神の退場



 第6演目 「綱伐」 綱伐とは綱を伐って災厄を鎮めると言うことで、舞人が俵に模した大蛇の前で神文を唱え、その神文には民衆の災厄防除の願望を鎮めるには、刀で伐り鎮めることが最も有効であるとし、四方に災いをもたらすものを伐り鎮める神文を四方で唱え、八岐大蛇前では八岐大蛇を伐ることと五方を伐り鎮めるとの神文を唱え、真剣にて大蛇に見立てた綱を伐ると言う舞です。
激しい舞を披露するのは、残った八百万の神々の4神、右は退場のシーン



八岐大蛇に模した俵
大蛇前で神文を唱える
災厄防除の神文を唱える



四方の災厄を鎮める所作
大蛇を伐り鎮める神文を唱える
太刀の邪魔になる小綱を斬り落とす



俵の位置を確認する
太刀を振り落とす所作
一つ目の綱を伐り落とす



二つ目の綱を伐り落とした
大蛇を伐り鎮めた神文を唱える
伐り鎮めたお礼

 第7演目 これも来場者によるシール投票で1位を占めた即興の演目で、その演目とは「綱武」 綱武とは須佐之男命が高天原を追われる原因の一つとして、神女が衣服を洗って干している所に、馬を殺してその皮を投げて衣服を血に染め、神女を困らせると言う物語を、神女を八百万の神々に見立て、須佐之男命と駆け引きをして、最後は須佐之男命を追放すると言う物語で、須佐之男命が神々をいじめる仕草と負けじと反撃する神々の駆け引きが笑いを誘う所作が面白い


リクエスト第一位をを告げる司会者
万の神々が観客の笑いを誘いながら登場



綱の引き合いで笑いを誘う
綱を四角にするなかでの駆け引き
そこに須佐之男命が登場



須佐之男命から逃げようとするが・・
須佐之男命に蹴散らかされる
須佐之男命を四角の綱の中へ



ここから須佐之男命が万の神々へ体当たり的に悪さを始める



悪さを何とかかわそうとする神々だが・・・
ここから反撃が始まる



神々は綱を利用して須佐之男命を翻弄する



翻弄されて場外へ追いやられる
やや子を抱いた須佐之男命を呼ぶ神々
ここへ入れと揶揄する神々



入りかけて止めたため、づっこける神々 場外で雄者語る須佐之男命
油断していた神々に襲い掛かり綱を取り上げる



綱を取り上げれた須佐之男命へ攻寄る
綱を持ってなおもいたずらするが、ついに追い払わられる


 第8演目 「八雲払」 八雲払とは高天原を追われた須佐之男命が出雲の国の簸の川に降り立つと、老夫婦と比売が思案顔で泣いているので、理由を聞くと、8人の比売がいて、その内の7名が大蛇に呑まれ、8番目の比売が呑まれようとしていると話し、私は足名椎、妻は手名椎、比売は櫛名田比売と言う。それを聞いた須佐之男命は櫛名田比売を嫁に戴けるなら、大蛇を退治すると言って、老夫婦に強い酒を用意させ、大蛇が酒を飲んで眠っている所を十拳剣で大蛇を退治すると、大蛇の尾から草薙の剣が現れ、その剣を姉である天照大御神に献上し、許しを受け、約束どおりに櫛名田比売と結ばれ、須賀の地に鎮座したと言う神話の物語です。

追い払った喜びの舞を舞う
大蛇に見立てた俵、綱伐とは少し違う



老夫婦と比売の登場
須佐之男命の登場を待つ3人
櫛名田比売の面



足名椎の面
手名椎の面
須佐之男命の登場



この場面から物語が始まる
ゆっくり時間をかけての登場
須佐之男命の面



何故泣いてるのかの問答
求愛に喜ぶ櫛名田比売の舞
求愛の愛撫



真剣の危険から少し移動
大蛇をにらみ退治方法を考える



邪魔になる小綱を伐る
俵を安定させる
大蛇を退治するとアピール



一太刀入れると首が落ちる
体を反転して尾っぽを斬る



首と尾っぽを斬られて胴体だけに
胴体に剣を指す
胴体を斬る



斬り刻む
胴体を場外に落とす
大蛇退治終了のお礼を述べる


 第9演目 「岩戸開」 岩戸開とは須佐之男命が忌服屋で働いた乱暴を怒った天照大御神が天岩戸にお隠れになったため、世の中が暗闇に包まれ、思金神を中心に八百万の神々は相談して策を練り、岩戸の前で長鳴鳥を鳴かせ、天宇受売命が天岩戸前で神がかりしたように舞うと、私が隠れているのになぜ外は賑やかなんだろうと不思議に思って、少し岩戸を開けると、岩戸の前で待ち受けていた天手力男神が岩戸を開いて、天照大御神を連れ出し、高天原に平穏が戻ったと言う神話の物語の舞です

お礼の仕草
思金神の登場



天児屋根命と布刀玉命の登場
3人で策を考える
天手力男神の登場



天宇受売命の登場
天宇受売命の舞が始まる
八百万の神々と一緒に舞う天宇受売命



天宇受売命は舞が終わると退場する
天手力男神が岩戸の前へ
邪魔になるしめ縄を外す天手力男神



色々な所作をしながら、また観客を焦らしながら、岩戸の前で岩を動かす所作をする



少し岩が動く
岩を取り外すと天照大御神現れる
岩を持ち上げる天手力男神



鏡を持った天照大御神
天照大御神が現れ平穏が戻ったお礼を述べる神々



 長時間の神楽でしたが、神楽は楽しい。あの太鼓をはじめとするお囃子が特に良い。
 岩戸開のあと、神楽が無事に終了したと言う「大神」の舞があるが、一人の神が四方の神にお礼の単純な舞をするだけなので、観賞を止めて別府への帰路につきました。
 舞台を務めて頂いた「御嶽神楽」の皆さま、「清川こども神楽保存会」皆さま、ありがとうございました。
八百万の神々を先頭に喜びを分かち合いながら退場へと