阪急「連帯を考える会」からの報告
集会参加の皆様おはようございます。阪急「連帯を考える会」の石原です。阪急京都線の桂乗務区で運転士をしています。 私は阪急を代表して、この一年間の「会」が行ってきた活動の一部を発言したいと思います。 私たち阪急の職場では60歳定年以降もシニアパートナーとして乗務員を続ける制度があります。そして、希望者は54歳を境に「毎年」クレペリン検査にパスすることが条件となります。そんな職場状況で、今年はすべての乗務員を対象としたクレペリン検査を実施する年でした。 しかし、その検査が実施される直前に、軽微なミスで「日勤教育」をされていた同じ職場の中堅運転士の周辺から「おもしろい話」が漏れてきました。 その中堅運転士は、運転係の執拗な説得で駅転用を決意させられましたが、彼を口説いた当時の運転係長から「駅に行くのは君一人じゃない、直ぐに何人かの乗務員も駅に行くから・・・」と聞かされたようです。 この話が職場で広がり、多くの乗務員が「検査する前から駅に転用するメンバーは決まってるんか」と、怒りの声を上げ始めました。 いまここで発言している私自身が、その55歳の節目の年にあたり他人事ではなくなり、すぐに職場の有志数名で、労働組合の支部を訪問し、「運転係長の発言は、検査結果を悪用して強制的に転用するものではないか」と訴えました。 検査の結果は、私を含めて労組を訪れた者はすべてパスしましたが、何名かのベテラン乗務員は駅職場に転用されました。 このように、「会社のサジ加減しだい」と言われる検査結果や軽微なミスを理由に、安全輸送の最前線の乗務職場では「正規から非正規への置き換え」が急ピッチで進んでいます。この置き換えが、マスコミをにぎわしている自動車や電機だけではないこと、そして黙っていては自分の職場も変えられてしまうことを、まず報告しておきます。 次に非正規問題です。この問題でも「給食費の値下げ」や「交通費の支給拡大」などは、これまでも発言してきました。 しかし、今年は阪急の非正規の方々をめぐる状況が大きく変化しました。みなさんの手元に配らしていただいている「阪急民報」と「シグナル」をごらんいただければおわかりだと思いますが、私の乗務区で働く20歳代後半の非正規労働者が、会社から「雇い止め」を通告されました。 阪急では、これまでの制度では「5年間に、運転士登録試験に合格した非正規労働者は阪急電鉄の社員に採用する」と言う制度でした。しかし昨年末、私たちの運動と労働組合の頑張りが実を結び、「職種に関係なく社員登用試験に合格した方は阪急レールウェイサービスの正社員として採用する」という制度が明文化されました。 「タイムリットは5年」という制約は依然あるものの、非正規の方たちの「身分の安定」を勝ちとったことは、大きな前進になりました。 そんな制度がスタートしたにもかかわらず、2名の「雇い止め」が発生したことは職場に大きな不安と怒りをうみました。 「5年も安い賃金で働かせて、要らなくなったらポイ捨てはムチャクチャや」「乗務で働く非正規だけの問題と違う、これから車掌に来る駅の非正規の人も不安がってる」「あとチャンスが一回しかない非正規の人が、いつも平常心で乗務できるか」など、多くの正社員が「同じ職場の仲間」として、この問題を見はじめています。 そして、私たち5人が労組本部を訪問して申し入れと懇談を行いました。そこでは、労組側から「安全維持のためには、安定した雇用が必要」の発言もあり、職場の不安感は「一定」払拭することが出来たと考えています。 私たちは、低賃金で正社員以上に働き、サービス残業も「ノー」と言えない無権利な非正規労働者の阪急労組への組織化を「早い時期」から掲げてきました。そうすることで、会社の「雇い止め」という無法も一定抑えることも出来るでしょうし、そうすることが私たち正社員の賃金や労働条件を守る近道だと考えています。 私たちの「会」も、少し前まで09春闘「要求」アンケートを行ってきました。特に、アンケートの対象となる労働者が非正規になってしまう職場もたくさんあります。しかし今年は、単にデータを集めるだけではなく、アンケート用紙を窓口に「多くの非正規の方たち」と対話することに眼目をおいた活動にしてきました。 多くの非正規の方々から「悲痛な叫び」とも言える意見が集まってきました。そのうちの一つを紹介いたします。 「手取り20〜22万円。家賃補助も無ければ家族手当も無い。結婚も考えてるのに、結婚も出来ない人がたくさんいると思います。せめて、手当てを少しでも良くしてもらいたい。なるべく早く社員にすべきだと思う。契約で乗務をやらせて、ミスをすれば駅に下ろされる。社員にしてもらいたい。契約打ち切りなど聞くと、違う職を探した方がマシに思えます」これが職場の非正規労働者の思いです。 私たちは、先日開催された総会で一年間の方針を決定しました。これまでも取り組んできた「仲間作りを、すべての活動の中心にすえる」ことを確認しました。私たちの中には「職場は宝の山だ」と言う先輩もいます。 いま、日本が抱えてるだけではなく阪急の職場に存在する「格差問題」を、自分自身の問題ととらえて、まだ緒に就いたばかりの非正規労働者の待遇改善の前進を「労働組合とともに」めざし、そして「宝の山」の鉱脈を、一日も早くさがしあて、来年の第25回全国交流集会には阪急から参加メンバーの平均年齢の大幅な引き下げを成功させて参加することを決意して、阪急「連帯を考える会」からの発言を終わります。 ともに、がんばりましょう。 |