2016年7月12日 私鉄関西バス部会での講演から 脇寺敏男 |
はじめに 歴史的な参議院選挙が終わり、日夜奮闘された皆さんに心から敬意を表します。 終った直後で今日時点で詳しい数字を知っての話ではありませんので、大まかな話として聞いていただければと思います。 こんどの選挙は、安倍暴走政治ストップを掲げた野党共闘が成功するかどうかが問われた選挙です。今回だけにとどまらずに次の衆議院選挙でも問われる枠組みです。 今後の政治史を変える大きな取り組みです。安保法制反対・立憲主義守れ(憲法守れ)野党が共同して選挙に取り組むのは戦後政治史の中で初めてのこと、すべての一人区でできるとは思わなかったですね。 私たちが活動してきた歴史は、野党同士のいがみ合い、反共攻撃との闘い、共産党を除く歴史ですね。私たち自身、野党共闘から学ぶことはたくさんありますね。 野党共闘を前進させるにはこれでいいのかという活動スタイルが求められます。共闘するということは、一致しない要求課題を横に置く勇気と政治の大義を失わないことなんです。 連帯する会の節度ある批判、道理ある説得、労働組合と共に…の方向はまさに労働戦線の中で野党共闘を進める大きな柱となるものです。 私自身も野党共闘の下での選挙、50年間の活動人生で最も力が入りました。 では結果をどう見るか 改憲勢力が3分の2を超えた。大阪維新を加えると、参議院定数242の3分の2、162を超える163を確保した。衆議院は自公だけで3分の2を超えていますから、衆参両院で憲法改正の発議が可能だということ。しかし安倍さんは選挙中は憲法論議を避けつづけ、選挙が終ると「どこをどのように変えるかは憲法審査会で議論し…」と憲法改悪に執念を持っています。 もう一つの結果は、野党共闘をした32の選挙区では11勝21敗、大きな前進です。前回2勝30敗ですから、細かい数字はわかりませんが、負けたところでも共闘成立以前よりは票を伸ばし善戦していると思います。ですから複数区での野党共闘も市民団体を交えての議論になると思います。大いなる希望ある結果だと思います。そして今回、民進党は6年前の最高の時の議席の改選、そして3年前は自民が圧勝した…、次の参院選は自民党一人区30勝2敗しなければ減るということです。衆議院でも14年は民主党の国民への公約違反から自民が圧勝した選挙でしたから、自民党にとつて次の選挙は厳しい選挙になります。改憲派の3分の2は民主党の失敗の裏返しでもあること、今踏ん張れば取り返せる結果だと思います。 ですから政権は野党共闘の分断に力を注いできます。それに負けないこと、よく話をする、政治の本質を語ることが求められます。政権構想についても話し合われます。そのためには私たち自身がよく学ぶことが大切です。 安倍さんは自分が憲法の上にいるという今までの自民党政治にない独裁者のふるまいをしています。 集団的自衛権・電波停止発言‥・そしてマスコミに圧力をかける、マスコミを無力にする。報道の自由世界で72位(以前は11位)です。立憲主義と民主主義を取り戻すことです。立憲主義とは憲法で権力を縛ることです。国会で多数であっても憲法に反する政治をしてはいけないことです。これが近代国家です。 権力が憲法を無視して暴走したら独裁政治になります。臨時国会の要求を握りつぶす、1年を通じて、臨時国会が開かれなかつた、初めての年。「早く質問しろ」「電波停止」立派な独裁者です。 野党共桐と労働運動 @野党共闘を可能にした最大の力は市民、国民の世論です。「戦争法」なくせ、原発なくせ、再稼働反対、TPP 反対、辺野古の基地反対などに取り組む市民の行動、シールズ・ママの会・憲法学者…などですね。 A東日本大震災から国民の意識も変わってきた。あきらめない、ねばりづよい、泣き寝入りしない。「保育所落ちた、日本死ね」匿名で誰かわからないという国会答弁に、「保育所落ちたの私だ」全国各地で名乗り出ている。ブログでは「わたし働けネイじゃないか」「一億総活躍社会じゃねえのかよ」今までにはこんな行動なかつた。あきらめずに権利を主張して、それが政治の変革と結びついてきた。保育所の増設や保育士の給料を上げると言わざるを得ない。 自らの運動で権利を獲得してきたヨーロッパと違い、日本では権利獲得の国民的な運動を経験しなかつた。ヨーロッパと比べ権利を実現する市民の力量に格差があつた。その差が社会保障の水準、教育の保障、労働条件の保障などにヨーロッパとの格差を生んできた。 国家には国民の生活をまもる義務があるという権利意識の理解が弱かった。「上見たらきりがない」とか「長いものには巻かれろ」「自己責任」。今の市民の運動はそれを乗り越えるもの。悪政から生活を守るものという受動的な運動ではなく、憲法の全面的な実施をめざす攻勢的な社会改革の運動となっている。市民運動は共闘で発展しているが労働運動はそうなっていない。市民運動を見習うべきところがたくさんある。 政治戦線での野党共闘を労働戦線にどういかすか 市民運動がこれだけ発展しているのは、@一致する要求での行動を徹底している、A不一致の問題は持ち込まない、B行動を積み上げて真実に近づく。労働運動もここから学ぶべきことがあるのではないですか。 いまこそ、@資本からの独立、A政党からの独立、B一致する要求にもとづく共同行動。市民運動は最もこのことを守っていますね。このことの職場での具体化が求められています。 このことに最もそむくのが特定政党支持の機関決定です。みなさんのニュースでも特定政党支持批判をしていますが、憲法違反だけでなく、政策的にも誤りだと、私鉄総連の政策とも併せて消費税・TPP・沖縄の基地・原発…節度を持って職場でし合って欲しい。 安倍暴走政治と対峠してこそ労働組合としての社会的責任を果たすことができる。民主党時代の政策、消費税・TPP・原発…特定政党支持をしているから抜け出せない。いかに特定政党支持の害悪か! 私鉄の内部でも特定政党支持の害悪が出ているでしょう。出発式への不当な動員・方針に従わない組合員の胸ぐらをつかむ・支持者カードの強要…労働組合にとつてなんのプラスにもならないどころかマイナス、不団結の拡大になっています。 野党共闘を労働運動にいかす、職場にいかす それは、私鉄連帯する会の方針を実践する。これが特定政党支持を打ち破る力になる。すばらしい方針ですね。 @組役員、組合員に対して節度ある批判、道理ある説得、労働組合と共に A批判だけではなく提案型の運動 Bまず挨拶から、人間関係を作る C相手のすべての生活と付き合う、相手の要求悩みは職場の中だけではなく家庭家族…に渡っていますから D市民運動の発展、この推進力になっているのが女性と家族の支えです。 【「家族と共に」】をあらたに付け加えてはどうでしょうか。そしてみなさんで相談してほしいのは、特定政党支持の名で暴言暴力を許していいのか、憲法を守れという野党共闘の一翼を担う政党が職場でカンパを強制する、胸ぐらをつかむ、支持者カードの強要、憲法を守れない政党に野党共闘の資格があるのか。労働組合こそ野党共闘の推進力になるべきではないのか。ぜひ話し合ってほしい。以上で私の話しを終ります。 |