大峰山系にオオヤマレンゲを求めて

 行者還トンネル登山口8:25−山上ヶ岳出会9:22−石休の宿跡10:17−弁天の森三等三角点9:47−聖宝の宿跡10:17−弥山小屋11:06−11:30八経ヶ岳12:02−12:55弥山小屋13:15−13:30聖宝の宿跡13:58−弁天の宿跡14:30−山上ヶ岳出会14:50−登山口15:37  合計時間7時間12分(写真撮影時間等含む)

 日本国内数箇所に大山蓮華が自生しているが、ここだけしか見れないと云う幻の花大山蓮華を求めて近畿地方で一番高い吉野熊野国立公園に位置する大峰山系の一つ八経ヶ岳へ行って来ました。

 尼崎の自宅を5時30分車で出発、高速道から熊野市へ通じる国道309号線沿いの弥山(みせん)登山口に当たる行者還しトンネル西入り口駐車場に8時過ぎに着く。

  

トンネル西口駐車場と登山口

 登山準備を終え天の川支流の吊橋を渡ると、登山道は尾根道の急な登りと変わる、登山道の周りは石楠花群生地なのか木々の全てが石楠花である、花の開花時期はさど見事であろう。

  

    短い吊橋を渡ると急な登りが待ち受けてる        石楠花の群生地を登る

 急坂を15分も登るとやや緩やかになり、今度は石楠花に変わって苔むした原生林へと変わり、ブナに混じって茶色く艶のあるリョウブ木とあでやかな緑色の苔がマッチして綺麗なコントラストを醸し出し登りの疲れを癒してくれる。

         

         行者還岳への分岐                        山上ヶ岳出会い

 山上ヶ岳出会いの尾根まで登るとガスが発生し、よりいっそう幻想的な雰囲気を醸し出し、汗まみれになった身体に微風が心地良い、この出会いは行者還岳への分岐点でも有り、数多くの修験者や行者が奥掛け道として通過したことだろう。

ガスによる幻想的な尾根を行く

 登山道はさらに緩やかになり、一時間近く整備された原生林の登山道を登ると石休の宿跡と記された所にでる、このような名前も修験者や行者が奥掛け道として利用した由来だろうか?

 三等三角点の弁天の森

 尾根道は木々に囲まれ展望こそ望めないが、霊験豊かな紀伊半島の尾根と呼ばれるだけあってか、今まで数多くの高山や低山に登ってきたが、どこがどうか判らないがなんとなく、今まで登ってきた山とは雰囲気が違うと思いながら登っていると、登山道の真ん中に三等三角点があり、弁天の森と記された標識が立てられており、光度計は1600mを指している。

  

     聖宝の跡に安置された修験像              断続的に続く木階段

 小休憩のあと、平坦な登山道をさらに進むと修験者の像が安置された場所に聖宝(しょうぼう)の跡と記された所に着き、いかにも修験者や行者が修行のために奥掛けに励んだ雰囲気を醸し出している。

  

   弥山直下の鉄製階段                     弥山小屋前広場

 緩やかな登山道はここで終わり、ここから弥山小屋までは九十九折の長い登りとなる、私たちと前後しながら登ってるご夫婦は群馬県前橋市から大山蓮華を見るために昨夜から車を走らせて来たと言う、長い木造階段から鉄製の階段を登りきると弥山小屋が現れる。

  

    弥山への登山道から小屋を見る              広場の休憩所にて

      

 

小屋の周りに数石の案内石柱

 弥山小屋広場では数組の先客が昼食休憩を摂っており、私たちも大休憩とする、弥山山頂に先に行くのかと思ったら、同行者が山頂には何も無いから直接八経ヶ岳を目指すと言うので尾根を下ると、途中から鹿除けの柵が設けられ、柵の中にはマイズルソウやカラマツソウの群生地が現れる、鞍部から登りにかかると大山蓮華の蕾や花が私たちを迎えてくれる。

 

 

木蓮科で妖艶な花をつけるオオヤマレンゲ

 鹿除けの柵によって守られた大山蓮華は訪れるのが少し早かったのか蕾が多く、それでも開花した花は私の目を引き付けるには充分な可憐と言うより妖艶な花である。

         

       八経ヶ岳山頂標識             八経ヶ岳殻見るガスに覆われた弥山小屋

 花を楽しんだあと、急な登りを一気に登り終えると360度の展望が開けた八経ヶ岳の山頂で、修験者の山としての錫杖が地に刺さっている、振り返ると弥山小屋がガスに包まれ、他の山々もガスの切れ目からしか望むことが出来ないのが残念、しかし素晴らしい展望である。

  

八経ヶ岳山頂と食後のデザート スイカ

 山頂では前橋市のご夫婦を含む数組が昼食を摂っており、私たちも眺望を楽しんだあと近畿で一番高い山に相応しい昼食と、食後のデザートとして同行者の一人が保冷器に一玉の冷たいスイカまで登頂させて戴いたので感謝・感謝で戴いた。

  

      山頂で記念撮影                   コケに覆われた弥山小屋の周り

 昼食を終え錫杖の前で記念撮影、私は何も無いといわれる弥山山頂に立って見たいので皆より少し早足で下り弥山小屋まで戻ると、観光バスで来たのか小屋前広場は休む場もないほど混雑しており、空き場所にリュックを置いて空身で弥山山頂へと向かう、山頂には神社が鎮座しており、ここで修験者が礼拝したのだろうか?神社の周りは木々に覆われ展望は無いが、振り返ると先程登頂した八経ヶ岳が凛々しく見える、皆が戻って来るまでにと思い早々に小屋まで引き返すと、ちょうど皆が小屋に戻って来た所だった。

  

立ち枯れの弥山への道と弥山山頂神社

 小休憩のあと登ってきた道を引き返し、朝気付かなかった駐車場に素晴らしい滝があるのを発見、車道から稲村岳が見えてきたので停車し、しばし見とれたあと帰路に着く。

          

    駐車所裏に素晴らし滝                  車窓から見る稲村岳

 八経ヶ岳は通称名で地理院の地図には八剣山と記され、一般的には八経ヶ岳または仏経ヶ岳とも呼ばれてる、三重県・奈良県・和歌山県の県境には修験者が早掛けの修行を行った名だたる神山が多くあり、八剣山もその一つとして後世に残された山であろう。

                                        スイカご馳走様でした。